「急性期を辞めたら、看護師としてダメになる気がする」と思っていた私へ
「急性期を辞めたら、看護師としてダメになる気がする」。私はずっとそう思っていました。
6年間、急性期病棟で働いてきました。来年の3月で退職することは、もう決めています。それでも、次に慢性期や回復期を選ぶことには、正直まだ迷いがありました。楽になるのはわかる。でも、それって逃げなんじゃないか、と。
その気持ちが変わったのは、先に移っていった先輩や同期に話を聞いてからでした。「もっと早く動けばよかった」と言う人が、思っていたよりずっと多かったんです。
この記事では、その満足度の高さがどこから来るのかを、私が聞いた話と、仕事の中身の違いから整理していきます。あわせて、「合わなかった」と言っていた人の話も書きます。
回復期に移った先輩に聞いた話
まず、いちばん印象に残っているやりとりから。3つ上の先輩が、回復期リハビリ病棟に移って1年ほど経ったころのことです。
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私
回復期って、正直どうですか?スキル落ちたりしません?
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先輩
それ、私も移る前に同じこと心配してた。でも実際は逆だったよ。
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私
逆、というと?
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先輩
急性期にいたってだけで、めちゃくちゃ頼られる。「この人ちょっとおかしいかも」って気づけるのが、いま思えば急性期で叩き込まれたことだったんだなって。
スキルが落ちるどころか、これまでの経験が武器として扱われる。この話は、私の思い込みをけっこう揺さぶりました。
同じ8時間なのに、中身がまるで違う
急性期と回復期・慢性期のいちばんの違いは、忙しさの「量」ではなく、時間の「使われ方」だと思います。
急性期は、予定していた業務が急変や緊急入院で吹き飛びます。だから記録が時間外に押し出される。回復期・慢性期は、患者さんの状態が比較的安定しているぶん、1日の流れが読めます。
満足度が高い、4つの理由
1. 生活のリズムが戻ってくる
急性期のしんどさは、業務量そのものより回復する時間が確保できないことから来ていると思います。夜勤明けで力尽きて、気づいたら休みが終わっている。あの感覚です。
回復期・慢性期にも夜勤はあります。ただ、夜間の急変や緊急入院が少ないぶん、仮眠が取れる病棟も多い。日勤のみの求人、夜勤回数を選べる求人など、働き方の選択肢そのものが増えます。
2. 患者さんが良くなる姿を、最後まで見られる
急性期でやりがいを感じにくくなる理由のひとつが、これだと思っています。数日で転院・退院していくので、その後どうなったのかを知らないまま終わる。
回復期なら、数週間から数か月、同じ人を担当します。歩けなかった人が手すりで立って、トイレまで行けるようになる。その過程に立ち会えることが、そのまま「自分のケアが結果につながった」という実感になります。
3. 急性期の経験が、そのまま強みになる
先輩が言っていたのが、まさにこれです。慢性期・回復期の患者さんは高齢で、基礎疾患を複数持っている方が中心。だからこそ、急変の初期兆候に気づけるアセスメント力や、いざというときに動ける度胸が希少価値になります。
スキルが落ちるどころか、早い時期にリーダーや教育担当を任されるケースも珍しくないそうです。6年目という年数は、ちょうどその評価を受けやすい層だと思います。
4. 数年先の予定を立てられる
結婚、出産、親の介護、資格の勉強。急性期の勤務では、こういう「数年先」を組み立てにくい。勤務が読める職場に移ったことで、ようやく人生の予定を入れられるようになった、という声も多く聞きました。
それでも「合わなかった」と言う人はいる
いい話ばかり書くのはフェアじゃないので、合わなかったと言っていた人の話も書きます。ミスマッチのパターンは、けっこうはっきりしていました。
そのうえで、事前に確認しておきたいことが3つあります。
- 年収:夜勤回数や手当が減れば、そのぶんは下がります。額面ではなく「時給換算」と「続けられる年数」で比べたほうが納得できます。
- 介護的な業務の割合:施設によっては、オムツ交換や食事介助が業務の中心になります。抵抗があるかどうかは、正直に自己確認を。
- 教育体制:急性期ほど整っていない施設もあります。研修や勉強会があるかは、面接で必ず聞いてください。
「合わなかった」と言っていた人の話を聞くと、たいてい見学をしていませんでした。求人票に書いていない部分でこそ差がつくのが、この領域だと思います。
3月退職なら、いつ動くか
私自身、来年の3月で退職します。同じ状況の人のために、逆算のスケジュールを書いておきます。
- 9〜10月:情報収集。求人の相場観をつかむ時期
- 11〜12月:応募と見学。4月入職の枠が動き出す
- 1〜2月:内定・条件のすり合わせ。退職手続きと並行
回復期・慢性期は4月入職の募集が多く、条件のいい求人ほど年内に埋まります。そして前回の記事にも書いたとおり、引き止めのいちばん強い材料は「転職先が決まっていないこと」です。辞めてから探すのではなく、在職中に動いておくほうが、話し合いの場でも落ち着いていられます。
まだ決めていなくても、見るだけならできる
回復期・慢性期は、施設ごとに業務の中身も夜勤体制も本当にバラバラです。求人票だけでは判断できません。だからこそ、内部の事情を知っている人に聞けるかどうかで差が出ます。
そして大事なのは、求人を見ることと、辞めることは別だということ。見ただけでは何も始まりませんし、今の職場に伝わることもありません。
※ 登録しても、すぐに転職する必要はありません。「こういう働き方もあるんだ」と知っておくだけでも十分です。
まとめ
- 急性期と回復期・慢性期の違いは、忙しさの量ではなく時間の使われ方
- 満足度が高いのは、生活リズムが戻る・成果が見える・経験が評価される・予定を立てられる、の4つがそろうから
- スキルが落ちるどころか、急性期のアセスメント力は移った先で希少価値になる
- 年収、介護的業務の割合、教育体制の3つは、面接と見学で必ず確認する
- 3月退職なら、年内には動き出しておく
急性期を離れることは、逃げではありません。少なくとも私は、話を聞いていくうちにそう思えるようになりました。